このブログは、慶應義塾大学メディアコミュニケーション研究所の金正勲ゼミのメンバーによるブログです。

金曜日, 6月 23, 2006

News Clipping 「ネットの中立性について」

競争と公益性・公共性についての話題が多いようなので、少し古いですが、ネットの中立性についての記事を取り上げたいと思います。アメリカのニュースですが、日本のNTTやNHK問題とも共通する課題があるようです。
金先生の記事でもレイヤー型競争論がとりあげられていますよね。
まだよくわかっていないので、間違っていたら誰でも指摘してください。><

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産経新聞6月14日東京朝刊  
映像配信に追加料?ネット利用“帯域占領”で対立  ≪米電話会社VS.コンテンツ事業者≫

[概要]
アメリカの議会でネットの中立性(network neutrality)の法案が話題になっている。

この法案の論点は
①回線を所有する企業は、利用者の選択肢をせまくするようなことをしてはいけないという主張。サイトやサービスを遮断したり、ウェブサイトを検閲したりする行為を禁止するもので、これについては、ネットワーク事業者、コンテンツ提供者双方とも合意している。
 →通信事業者がコンテンツ事業者に対して有料で優先的に帯域を割り当てることを禁止するよう提案

②ネットワーク事業者は、ヤフーなどが映像を含む大容量コンテンツを流していることにより、一般ユーザーにアクセス速度低下などの損害を与えており、ネットワーク利用の追加料金を払うべきだと主張。コンテンツ事業者は公正な競争が阻害されるとして、こうした動きに反発を強めている。
 →まだ結論は出ていない?

コンテンツ事業者は、アプリケーションとプラットフォームの水平分離型を目指し、公平な競争が進めば、全てのエンドユーザーの利益になると考えている。その一方で、ネットワーク事業者は、既存の垂直統合型を維持し、設備投資費用を利用者(個人or企業)から徴収したいと考えている。

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下の記事が参考になるかと思います。特に1つめの記事の図がわかりやすいです。

ネットワークは中立的か―高まるレイヤー型競争論
ネットワークは中立的か―日米の議論の潮流を読む

上記の記事は水平分離派ですが、垂直統合派の意見としては次のものがあります。
ネットの増殖力を奪うネット中立性

ネットの中立性を実現すると「ネットワーク事業者が自社サービスの差別化によって需要を喚起するようなビジネスを展開できなくなるため、インターネットの技術革新が抑圧され、投資も減少することになる。ネット中立性は実現しても、同時にネットは自己増殖力を失う」と指摘していますが、どうも分が悪いようです。