このブログは、慶應義塾大学メディアコミュニケーション研究所の金正勲ゼミのメンバーによるブログです。

火曜日, 12月 19, 2006

日が出てしまいましたが…昨日のゼミについて

昨日もThe Longtailの輪読の続きでした。

産業革命時代のマス広告のはじまりから、現在のフィルタリングや検索エンジンによる"economy of abundance"までの流れをひもときました。

産業革命以降、商品は豊富にあったが、商品棚が限られていたため、人々の選択肢は有限であり、そのためにより効率的に売るためにマス広告によるヒット経済が成立した。しかし、インターネットの登場により、Display, Exposureのコストが低下し、選択肢が豊富になると、ヒット経済だけでなく、フィルタリングや検索エンジンという手段を用いた、ニッチでロングテールな経済も出現する。また、生産手段も民主化され、コンテンツ自体も増加していく。今後、需要がテールの方にシフトしていけば、売り上げの曲線は相対的にゆるやかになっていく。

・アナログコンテンツとデジタルコンテンツでは、限界費用と流通費用の大きさが全く異なるので、インターネットによって受けるインパクトが異なる
・物理的な対象ではなく、contentsに関する情報をdisplayすることによって、商品棚がほぼ無限に増えたわけだが、これはcontentsの本質を表している

図をアップできると説明しやすいのですが、私の説明はわかりにくいので、誰かが補足してくれると助かります。

また、人々の生産の動機について、議論が盛り上がりました。
・ロングテールのヘッドとテールの人では、著作権に関する考え方が異なること
・motivationはmonetaryとnon-monetary(Internal)にわけられる
・ブリタニカは前者、ウィキペディアは後者
・単純に金銭的incentiveを与えればいいというものではなく、トレードオフの場合も

ここから、宗教改革、グーテンブルグの印刷技術の発明からThomas Kuhnの「paradigm」(世界観)に関する話まで広がりを見せる。
・確率統計的、相対主義的に考えると真実は社会的に構成され、時代ごとに異なる
・ここから、権威をもって真実にしてきたモードだけでなく、集合的に真実をつくっていくモードも生まれつつある
⇒ゆえに、context、文脈依存が重要になってくる


昨日は、6時まで新入所生の銭谷くんがオープンゼミに来ていたので、みんな緊張していました。
みんなが恥ずかしがりながら発言していて、面白かったです。
来年の1月15日が次のゼミになります。
興味のある方は、HPの掲示板に担当者の連絡先が書いてありますので、連絡をして頂ければ見学できます。