小野敬明君のResume
「私はこの本を訳しながら、まさにわれわれは「第四の波」に呑み込まれようとしている、と実感した。」 ―――大前研一
この本の訳者である大前研一は、冒頭の解説においてこのように述べている。実際、原題が「A Whole New Mind: Moving From The Information Age To The Conceptual Age」となっているように、この本は情報化時代の次にコンセプトの時代が到来すると予測し、それに対応する能力をつけることを啓発する内容となっている。今回扱う第一部は、なぜ情報化時代の隆盛が終焉するのか、そしてなぜ次に来る時代がコンセプトの時代なのか、ということについて説明している。以下の項目がその論旨である。
<感想>
近頃、「エクスペリエンス」や「コンテクスト」という言葉を頻繁に耳にするようになった。「エクスペリエンス」とは、マイクロソフトがWindows XPを発売したときに使用したキャッチフレーズであり、「これまでになかった体験・オリジナリティのある体験」というニュアンスを含んで用いられている。例えばその「エクスペリエンス」を作り出す「エクスペリエンス・デザイン」の成功例として、独自の店舗作りによってひと味違うコーヒーショップとして名を成したスターバックスや、独創性のあるプロダクトを数多くラインナップするアップルコンピュータが挙げられるだろう。また、これらの企業は同時に「コンテクスト・デザイン」の成功例でもある。自身の姿勢・観点をしっかりと持ち、それらをつなぐストーリーを上手に伝えることが「コンテクスト・デザイン」であり、これは結果上質な「エクスペリエンス」を提供することにつながっている。「エクスペリエンス」にも「コンテクスト」にも備わっている重要な要素がある。それは独創的かつ創造的であることだ。コーヒーもコンピュータも、それ自体は無数の企業から提供され市場にあふれかえっている。その中でスタバやアップルが人々から認められるのは、物質的な要素だけでは説明できない美しさやエモーショナルなものを提供しているからである。これはつまり、本書の中で言う「ハイ・コンセプト」や「ハイ・タッチ」の一例であろう。ピンクが明らかにしたこれらの概念は、個々のビジネス分野で様々に語られている現象と共通する物であり、それを帰納したようなものである。そのため、第一部を読んだとき、個人的には大いに賛同する部分と既視感との双方を感じることとなった。
<論点>
三つの危機について右脳主導思考を先進国が独占できるのか?「アジア」がクリエイティビティを手に入れてしまう可能性もあるのでは。
コンセプトの時代についてハイ・コンセプト、ハイ・タッチを身につけることは出来るのか…?私たちはどうするべきなのか?
日本の教育事情の誤解について(オフトピ的)私たちも他国の事情についての事実誤認をしばしばやっているのではないか。
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