NC review【IP放送の著作権処理を簡素化へ 番組多様化に道 CATVには影響大】
現在、IP放送は有線役務利用放送(公衆によって直接受信されることを目的とする有線電気通信の送信であって、その全部又は一部を、電気通信事業を営む者が提供する電気通信役務を利用して行うものである)として、制度化されている。
つまり、現状ではIP放送は「通信」としての位置づけとなっている。
しかし、今回のIP放送の「同時再送信」に限っての著作権処理簡素化という方針によって、同時再送信時は「放送」というより実態に近づいた著作権処理が行われるようになった。
今まで、地上デジタル放送に関してはNHKや民放各局は技術面や著作権処理問題などを理由に再送信を認めてこなかった。
これまでIP放送があまり普及しなかった原因と言われてきた。
しかし、2011年の地上波放送の完全デジタル化に伴い、難視聴地域の発生などの補完的伝送手段として、FTTH回線を用いたIP再送信が浮上した。
このあおりを受けるのがケーブルテレビ各局である。
現在、営利目的のケーブルテレビ局の約6割が累積赤字を抱えており、その経営基盤はきわめて脆弱である。
IP放送の提供の通信会社の攻勢によって、ケーブル局の根幹が揺らぐ可能性もある。
また、今回の著作権処理の簡素化によって権利者の反発も起こる。
IP放送の「同時再送信」は「放送」という扱いであり、著作権の許諾権がなく、権利者は使用を拒否することができない。
つまり、権利者団体はIP放送の「放送」という位置づけには権利の切り下げを意味するものであると反対をしている。
これらの反発を沈静化するべく、権利者の「報酬請求権」の新設がなされる。
★IP放送についての著作権法改正の骨子案
・当面、放送の同時再送信のみをCATVと同様の取り扱いとし、再放送や自主制作番組の放送については、通信・放送の融合の状況に留意しつつ検討を継続する
・CATV事業者の規模が拡大しているため、同時再送信の場合に実演家・レコード製作者に新たに報酬請求権を与える
・IP放送による再送信の場合、実演家・レコード製作者の許諾権を報酬請求権に改める
・契約ルールの策定では、文化庁も関係団体間の円滑な合意形成に向け必要に応じて支援する
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