メディア融合時代の放送の公共性
[Kimblogからの転載]
竹中懇談会でNHK問題がkey issueとして取り上げられているが、肝心の「メディア融合時代の放送の公共性」に関する議論は素通りされたままである。受信料やNHKのコンプライアンス、確かに重要な問題であるが、残念ながらそこは議論の本質ではない。
技術発展により電波の希少性の度合いが小さくなり、ネットや双方向サービスのような既存の放送に対する代替的なメディアが次々と登場する中、「電波の希少性や放送の社会的影響力」に基づく既存の放送規制は正当化されなくなってきている。そこで、既存の放送の公共性と連続性を保ちながらも、時代の変化の流れに合わせたより柔軟な放送の公共性概念を検討することで、「メディア融合時代の放送の公共性」について整理しなおすことが今求められている。
中でも、「競争と公共性の関係をどのように捉えるのか」、というのは重要な論点である。放送分野で競争が進展することは放送の公共性を阻害するものなのか(ニッポン放送ケースや楽天-TBSケースで放送局側が主張した論理)、それとも競争と放送の公共性は相互に直接的な関係がなく、むしろコンテンツ提供主体の多元性(plurality of media provider)により、コンテンツの多様性(diversity of media content)が確保され、その結果、放送の公共性が高まる、と考えるべきなのか、議論が必要である。
前提を設けない今回の大臣懇談会に対して個人的にはかなりの期待を寄せてきたが、一方で上述したような本質的な議論が行われないまま、結論が出されることについては憂慮せざるを得ない。
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