このブログは、慶應義塾大学メディアコミュニケーション研究所の金正勲ゼミのメンバーによるブログです。

木曜日, 4月 12, 2007

NC: 4/16 NYTimes 

NY Times 2007.4.11
"Where on the Web is Matt Lauer?"

【要約】
"Today"というTV番組で、キャスターが世界中のどこかからリポートするというコーナー(”Where in the World Is Matt Lauer?”)が1998年から不定期で行われている。NBCは、はじめてこのコーナーをプロモーションするための単独のサイトをつくった。過去のこのコーナーの動画を公開し、視聴者が参加できるコンテスト(動画を投稿し、旅行を獲得する懸賞)も設けられている。そして、このPRサイトを広告するためにキーワード連動型広告を出稿している。

特徴的なのは、この番組のPRサイトを、ヒュンダイという自動車会社が2500万ドルで独占的にスポンサーしていること。"Today"という番組が一種のブランドとして機能しているとNBCのプロデューサーは指摘している。NBCでは、有力な番組をインターネットでも活用し、新しい価値を生み出していく方法を模索しているという。

ヒュンダイの広告費は年間およそ60億円。そのうちインターネット広告の割合は2006年の2.5%から2007年には10%、2008年には20%に達する予定。自動車を買う人のうち8割が事前にネットで調べるという調査結果もあるとのこと。

【感想】
ネットの広告費が増えていく中で、TV局が今後も広告費を確保すると同時に、自分のコンテンツの視聴者を確保する手段として、面白い試みであると感じた。特に、今回のように番組にストーリー性がある場合、自然に広告として機能する可能性があると考えられる。
アメリカでは、TVチャンネルが多く、競争が激しいこともあり、コンテンツを積極的に活用し、さらに利益を生み出そうとする試みが多い。NBCもインターネット上で過去の番組が閲覧できたり、その動画をブログに貼り付けられるようにしていたりする。これに対して、日本では、コンテンツを守ろうという意識が先行しており、それを今後どのように新たな価値に転換していくかは二の次と感じられる。

【論点】
・TV局のネット戦略について(アメリカと日本の違い)
・TV番組にとって「視聴者参加型・双方向」というのは重要であるのかどうか


●4/5の記事ですが、TVとネットの関係性を考える上で、こっちのTivoの記事も面白いです。
インターネット上の情報もTVスクリーンで自由に見られるようになり、ますます相互の垣根が低くなっていく方向性です。従来のTivo対CATV局のset-top boxという構図から、「視聴者との接点(attenition)を得られるところが勝ち」になるのでしょうか。

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